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2015/06/03

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エネパスコラム第8回

今年4月から、新築戸建て住宅も「長野県建築物環境エネルギー性能検討制度」の義務対象になった。この機会に、県がこの制度を通して目指していることや、本来、消費者が住まい選びの際に知っておくべき、住まいの『燃費性能』と『健康性能』との関わりなどについて、シリーズでお届けする。

さて我が国は、よく「乾いた雑巾」に例えられ、十分に省エネに取り組んでいる省エネ先進国というイメージが強い。しかし実は、我が国の住宅の省エネ性能は、先進国の中では大きく立ち遅れており、むしろ省エネ後進国なのだ。

ほとんどの先進国は、住宅の省エネ性能の基準を定めており、英国、ドイツ、フランス、米国(州による)、韓国(500㎡以上)などの国々では省エネ基準に適合していない住宅・建築物は建築許可がおりず、建築することは認められない。

もちろん日本も国土交通省が省エネ基準を定めている。しかし300㎡以上の建築物に届出義務があるだけで、適合していなくても建築は可能だ。そのため、国土交通省の公表データでは、新築住宅の省エネ基準適合率は、図1のように4~5割に留まっている。しかもこれは、300㎡以上の共同住宅等のデータであり、戸建住宅の適合率はさらに低い可能性が高い。

新築住宅の省エネ基準適合率_第8回
それに加えてこの基準自体も他国に比べて大幅に緩い。例えば、窓のサッシの断熱基準(熱貫流率)は、ドイツの0・95[W/(㎡K)]、米国ニューヨーク州の2・00に対し、日本は東京などでは4・65、長野の多くの地域では3・49に留まっている。この数値が小さいほど熱を通しにくく、断熱性能が高いことを示すのだが、図2のように、我が国の窓の断熱性能の表示等級では、2・33以下であれば最高ランクの☆4つが得られてしまう。

省エネ建材等級表示区分(窓)_第8回
日本では最高ランク評価を得られるこの2・33以下のサッシを欧米に持っていくと、ほとんどの国では基準を満たさない。中国の基準は地域によるが概ね2・0前後であり、中国でも使用できない地域が多いという。最高ランクのサッシですらこうなのだから、我が国の住宅で使用されている一般的なサッシは、ほとんどの先進国で使用できないのだ。

このように、住宅の省エネ性能(断熱性能)については、日本の常識は他国の非常識であると認識した方が良さそうだ。

次回は、住まいの断熱性能を考える上で最も重要な窓の性能についてもう少し踏み込んでみたい。

長野県-北信・東信で自然エネルギー利用パッシブハウス、W断熱-Q1.0省エネ・低燃費住宅の新築、リフォーム     山本建設株式会社

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